環境衛生学分野の展望


環境衛生学の視座

健康障害の予防には、感受性素因と環境要因の相互作用から分析する視点が必要と考えます。我々はこのような考えに基づき、健康障害の発症における環境と個体要因の相互作用を明らかにすることを第一の目標としています。

環境要因としてはPersistent organic pollutants など環境汚染化学物質、栄養障害、労働環境要因などを対象とし、これらに起因する健康障害を解析しています。遺伝疫学的解析の手法を用いる外、生化学的手法やフィールド調査など多様な手法を用います。我々の第2の目標は、メカニズムの解明によって得られた知見を基に、環境の改変により疾病予防の実践に結びけることです。幅広い多様なバックグランドをもった人材を期待します。

我々の生活を取り巻く社会には、環境と深く関わる健康問題があります。ライフスタイル、栄養、環境汚染、職業など多くの「環境」が健康障害の原因となります。
環境汚染が少ない時代にはダイオキシンやホルムアルデヒドへの遺伝的感受性の個人差は問題になりませんでした。しかし、内分泌撹乱物質の例で見られるように、汚染物質の低濃度化により薬理作用が問題となり、遺伝的感受性要因を解明する必要がでてきました。環境の変化の中で、ヒトの健康障害をダイナミックに捉え、最終目標である予防の実践に結びつけるためには、人を包括的に捉える視点が重要です。我々はこのような視点で研究・教育・実践を行っています。

京都大学環境報告書2006インタビュー

展開
現在、大きくは3つのプロジェクトが進行しています。

プロジェクト1では、突然死や過労死の原因となる家族性の脳動脈瘤の研究を遺伝解析手法で行っています。このプロジェクトでは、原因遺伝子の探索と平行して、職域でのくも膜下出血の予防と早期発見のためのプログラムの策定を行っています。

プロジェクト2では、難分解性汚染化学物質の曝露の歴史的動向評価と生体への影響を検討しています。このプロジェクトでは環境試料バンクの構築と分子レベルでの有機フッ素化合物の新たな毒性の解明を行いつつあります。

プロジェクト3では、アミノ酸や有機脂肪酸のトランスポーターの遺伝疫学を行っています。実践としては地域でのマススクリーニングを行っています。
 【コミュニティゲノム予防医学の展開】

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